アクアプラネット通信 水と緑と暮らしのネットワーク
 
 
アクアプラネット研究会会長・NPO法人浄化槽ナビゲータ認証機構顧問
 北尾 高嶺
(豊橋技術科学大学名誉教授)

 21世紀は「環境の世紀」とも、「水の世紀」ともいわれております。今世紀が「環境の世紀」となることは、地球環境問題などが深刻化する中で実感を伴って理解できるが、「水の世紀」といわれても、感覚的には分かりにくいというのが大方の受け取り方ではないでしょうか。
 しかし、近年、水の世紀すなわち世界的に水不足が深刻化するという暗い世紀の幕開けを、いやでも思わされるような事態が世界のアチコチで起こっていることが報じられています。一つの河川をめぐっての上・下流国の水資源争い(トルコとイラクなど)、黄河が海に達しなくなるほどの水の涸渇、源水の値段をめぐる対立(マレーシアとシンガポール)、劣悪な水質の飲料水のための多数の児童の病死(インドなど)、その他思い付くまま上げても切りがないほどです。

 ● キーワードは水のリサイクル ●

 しかも、ダムによる水資源の開発は生態系等の荒廃をもたらすことを人類がようやく学習し、海水の淡水化はコスト面でも、エネルギー消費の面でも、マクロな見地での水資源対策となりえない今日、水のリサイクルこそが水不足に対応する上での唯一のキーワードではないでしょうか。
 こうした事態を別の見方をすれば、環境にしろ水にしろ、大がかりな手法は正しい解決策たりえず、一人ひとりが細やかな手法やライフスタイルの見直しなどを積み上げていくしかないということだと思います。

 わが国における水事情にこうした考え方を当てはめて見ますと、水資源には比較的恵まれた国とはいえ、大都市域や離島等では楽観を許さない状況にあります。そうした中で、遠方の山岳地域にダムを造って都市へ水を引き(水道)、都市で使った水や降った雨はまとめて下流へ流す(下水道)という手法には、ほころびが目立って来ています。

 ● 天水や浄化槽の処理水を活用 ●

 天水や浄化槽処理水の有効利用を積み上げて行けば、ぼう大な量の水資源を生み出すことができるし、河川にも豊かな水量が回復してくるでしょう。
 その上、排水処理水ほど水量的に安定していて、水質はともかく量の面では安心して使える水源は他にないのです。現に異常渇水の年に、1日19時間も断水してトイレの使用に難渋した都市で、一部の浄化槽地域では簡単な三次処理と処理水再利用配管が有ったおかげで、少しも困らなかったという実例が有ります。

 このようにして、自分の頭の上に降った雨水を有効に反復して利用するようになれば、単なる技術的問題に留まらず、水の使い棄て文化からリサイクル文化への水文化の再構築といっても過大評価ではないでしょう。
 ついでながら浄化槽においては管理の徹底ということが、いま課題の一つとなっていますが、処理水の再利用が進めば、この問題も難なく解決するでしょう。何しろ使用者の厳しい目が処理水質に対して光るでしょうから。
 それから、こうして構築された日本発の水文化を世界の国ぐにに発信しなければなりません。これこそ「水の世紀」における最大の貢献といってよいでしょう。

 ● 最先端担う誇りと自信を持って ●

 私は、欧米の人達と議論する中で、こうした下水道先進国においても、いや下水道先進国だからこそ、日本の浄化槽と同じようなシステム〜かれらはそれをオンサイトシステムといいますが〜が必要なのだと確信するようになりました。
 私達は世界の水文化の再構築の最先端の一翼を担っているのだという自信と誇りを持って、それぞれの場で力いっぱい努力しようではありませんか。 日本発の水文化を世界に